税理士法人 広島パートナーズ

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令和8年1月施行の下請法改正

下請法が改正されることとなり、令和7年5月に成立し、令和8年1月から施行される「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」ができました。もちろん下請法は以前より守られるべき法律としてありましたが、時代に合わせ新たに改正されました。元の下請法の対象となる条件が複雑で、自分の会社がどういった時に対象になるのかは把握しておかなければいけません。元請の立場でも下請の立場でもです。ただ、その点を記載するだけで終わってしまいますので、改正を主体とするので対象関係については各自ご確認ください。

 

改正内容ですが、やはり資金面がメインとなってきます。

1.正当な価格決定と協議義務の強化

買いたたき、値引強要といったことは以前より禁止行為でしたが、インフレ時代ですので、労務費、原料、エネルギーコスト等のコストが見積書の時点と大きく差が出てしまう場合がございます。具体的になると、トランプ関税は急に決まりましたが、それを考慮していない見積書で金額の確定となると下請け側は赤字の受注も考えられます。こういった見積と実態に差がある際に、元請は交渉の拒否、「予算で決まっているので無理」と一方的な理由の強要、少額の値上げにより価格転嫁の成果とするなどを禁止としました。

もちろん、値上をしなければいけないというわけでなく、下請側と交渉し、下請に過失があるようなことまで守られてはいません。交渉、値段変更を可としていないと、見積書が実質請求書となってしまい、見積もりの体をなさなくなることを禁止し、下請け側も自分も守るために見積有効期間を「三日間以内」、「当日に限る」といった契約社会の非効率化を起こしてしまうことを防ぐようになっています。

 

2.手形廃止及びファクタリング取引

前回のレポートで手形の廃止とご連絡しております。令和6年11月より60日を超える期日の手形が行政指導の対象になるとなりましたが、この度の改正で手形自体の廃止となりました。

そして、ファクタリングと呼ばれる売掛金の第三者買取というものが以前からありましたが、手形廃止により、3者間ファクタリングを不正に使ったり実質的に入金の遅れとなるようなことを禁止しています。

①下請の売上が確定し、売掛金が発生 (1/31) ()内は例示日付

②元請から債権譲渡の承諾を得る (1/31)

③下請がファクタリング会社に売掛金を売却し、手数料を引かれて入金(2/10)

④当初の売掛金支払日に元請からファクタリング会社へ売掛金の支払い(2/28)

 これが通常の流れですが、③と④が入れ替わり、④は2/28のままですが、③が3/10になった場合、当初の売掛金入金日より現金化が後ろになってしまうと手形と同じような流れになってしまいますので違反となります。下請元請ではなくファクタリング会社の問題です。

 

3.遅延支払の利息

従来の支払い日より支払いが遅れた場合、利息を支払うよう勧告することとしていましたが、代金を減額した場合、遅延利息の定めがなく、利息を払わずに済んでしまい、指導を受けても利息を払って是正したら終わり。になってしまい、元請側に実質影響の出る「勧告」になることがありませんでした。改正で、減額した場合でも利息を求められ、違反があった場合、「勧告」につながることが明確化されました。

 

4.その他両者の承認不要で電子書面での取引が可能になったなど細かな規定があります

 

最初に述べたように自分が対象なのかを知ることが重要です。資本金、従業員数、業種によって決まってきますので、経営者はもちろん、総務、営業もがわからない数字ではありません。自分たちの理解が需要です。

廃業について人手不足による廃業も増えてきていますが、実際は資金の影響によるものが多数です。相手取引先も利益を追求することが目的ですので、相手から多くのお金をもらう、対価の増加を求めています。win-loseでなくwin-winになるように理不尽な契約にならないように下請法を勉強しておきましょう。

手形の廃止など会計の実務面でも影響が大きいですが、下請法は契約書の問題等がメインではありますので、税理士ではなく弁護士の領分に近いです。弁護士相談がハードル高い場合、中小企業庁及び関係機関にご相談ください。

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