活動レポート
- その他(企業経営等)
定額減税の還付はこれでいいの?
今年の年末調整は定額減税が特殊だった内容でした。その定額減税で年末調整までに満額控除されなかった人についてですが、後日、調整給付金という形で還付がございます。この申告はどうすればいいのかとお考えになり、調べてここに来られた方もいると思います。
なぜかというと、定額減税について色々と細かく決められていましたが、こういった終わりについて情報が少なすぎるからです。その理由としては、定額減税の管轄が税務署(国税庁)と市町村の地方自治体に分かれてしまっているのもあると思います。
年末調整は所得税ですので税務署管轄の作業です。ここで定額減税の調整をして残額があった場合、市町村から個人に対して還付されます。その為、税務署はどうやって返すかは市町村に一任しており、市町村は実際に動く時でないと、いつお知らせを出していつ頃還付されるかといった具体的なスケジュールといった情報を把握するのも難しいのだと思います。
現在発表の情報も今後変更の可能性もあるので令和6年末時点での情報としてみていただければと思います。
まず、市町村が把握する為の情報ですが、給与支払報告書の情報を基に計算されます。一般の方は給与支払報告書という資料をご存じでない方も多いと思います。毎年の年末調整をした後の作業ですが、会社は源泉徴収票を税務署に、記載内容は同じすが、体裁が若干違う給与支払報告書を市町村に送付しています。源泉徴収票は年末調整時の給与明細と合わせて配られるので名前がわからなくても見たことがあるかと思います。給与支払報告書という資料は本人に渡すものではないので知らないのも無理はありません。
ここから今年の年末調整の資料の話になります。
源泉徴収票、給与支払報告書、共に中段の摘要欄に以下のような定額減税の情報が記載されています。
源泉徴収時所得税減税控除済額 ×××円
控除外額 ×××円
(非控除対象配偶者減税有)
上から、「源泉徴収時所得税減税控除済額」は定額減税の完了した金額。扶養なしの方であれば30,000円上限で、記載金額が30,000円だと既に給与天引きで完了しているということです。
「控除外額」は定額減税の終わっていない金額。ここに金額があれば還付があるとされます。30,000円上限で14,500円まで控除が終わっていたら15,500円の記載があります。
非控除対象配偶者減税有は、一部の方に記載があります。所得税の配偶者控除を受けられるのは本人の所得が1,000万円以下の方です。超過している場合、配偶者の方に所得がなくても配偶者控除を受けられません。扶養にもみなされないので扶養控除もありません。しかし、定額減税を受けられるのは、本人の所得が1,805万円未満とされており、その間の金額帯の方は年末調整では扶養がいないが、定額減税上では扶養となるというズレが起きるのでこういった記載となります。該当しない方はこの記載はありません。
ここまでは給与ソフトでも表示されるので問題ありません。問題となるのは調整給付金を受けた人です。この調整給付金ですが、年末調整の結果を待たずに定額減税の金額が控除しきれないと予測される方に対し、市町村から個人に向けて書面で通知を出しており、夏から秋にかけて既に還付されています。どういった方かというと、主には前年度以前に住宅ローン控除を受けている方で、前年度所得税を全額控除しきった方については今年も同様に考えられるので年末調整を待たず、先んじて給付が起きています。個人に通知が来るのでこれを確認しておかないと年末調整を行う人は知らないと思います。知らなくても問題ないのですが、年末調整で還付があるよと言われたけど結局先にもらってたから還付なしだったよ。となるのはショックだなというレベルです。
住宅ローン控除の全額控除がされる方の、先述の源泉徴収票の記載ですが、扶養なしの方の場合で、
源泉徴収時所得税減税控除済額 0円
控除外額 30,000円
と記載されます。これは今後の還付(定額減税不足額給付)が起きる方と同じ表記になります。そうなると先に給付がありまた還付が起きると二重還付になってしまいそうですが、市町村も不足額給付の計算の際、調整給付を行った方はもちろんわかるので、その人に追加の給付を発生させないという処理になるようです。
もし従業員から調整給付を受けたと聞いていても気にせずに通常通りの処理をしてください。書面的に二重還付にならないかな、と思うのは正しい疑問ですが、今回はそのままで大丈夫です。
もう一点、同様に扶養内配偶者の方(103万の壁を下回る人)の源泉徴収票ですが、
源泉徴収時所得税減税控除済額 0円
控除外額 30,000円
こちらも同様な記載になります。所得税が発生していなかったんだから控除済は0円だし、控除の残りとしては30,000円となり正しいです。ただ、この場合、配偶者の相手側で60,000円の控除を受けていると考えられ、それを整合してこちらには還付が起きない。といった内容になるようです。この調整は市町村がやるそうなのですが、とんでもない事務作業になりそうなのですがどうするのでしょうか。マイナンバーも実務上、必須ではない状況なので結びつけるのはとんでもなく手間だと考えられます。
問題なのは、源泉徴収票(給与支払報告書)の記載内容がこれでいいのかといった情報がほとんどなく、現場を混乱させている点だと思います。いくつか問い合わせさせていただいた内容なので間違いはないと思います。この点が知りたかった方には参考になったかと思います。
整合をする作業の上、確定申告で情報が入れ替わる人も多くいると思いますので、今から地方自治体がとんでもなく手間がかかりそうなことも考えると、給付は早くて夏くらいではないかと思います。
会計事務所、社労士事務所が勉強も含め作業した時間、税務署、自治体の対応した時間等含めると明らかに減税ではなく一律で給付した方が安くついています。国からしたらその分顧問先に請求すればいいし公務員はそういうものだと思っているのだと思いますが、届かない声なのでしょう。もう二度とこんな思い付き制度が生まれませんように。