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不動産賃貸業(不動産貸付け)による収入は何所得?

不動産から得られる収入は様々ありますが、

 

今回は個人事業主による不動産賃貸業(不動産貸付け)について掻い摘んで説明したいと思います。

 

 

(1) 不動産所得

 

自己所有の土地や建物などの賃貸不動産から得られた賃料収入で、

 

1室の賃貸でも不動産所得になります。

 

この土地には、土地の上に存する権利も含まれます。

 

そのため、地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権などの、

 

土地の使用収益に関する権利の設定や、

 

その貸し付けによって得られた収入も不動産所得に含まれます。

 

また広告等のため、土地、家屋の屋上又は側面、

 

塀等を使用させる場合の賃貸収入も不動産所得に含まれます。

 

その他には総トン数20トン以上の船舶や航空機の賃貸収入なども不動産所得に含まれます。

 

(注1) 権利金などの額が相当多額であるときなどは、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合があります。このような場合には、資産の譲渡があったものとして、その借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金などは分離課税の譲渡所得となります。

 

(注2) 主として不動産貸付けを営んでいる個人が、所有している不動産を売却した場合は分離課税の譲渡所得となります。

 

 

 

(2) 事業所得又は雑所得

 

不動産貸付けの内容によっては不動産所得ではなく、

 

事業所得又は雑所得として扱われることもあります。

 

1 事業所得または雑所得とみなされるものの具体例

 

① 時間貸有料駐車場の収入(事業又は雑所得)

② 保管責任がある有料駐車場、有料自転車置き場等の収入(事業又は雑所得)

③ 事業を営む者の従業員宿舎の使用料収入(事業所得)

④ 下宿等のように食事を供する場合(事業又は雑所得)

⑤ 浴場業、飲食業等における広告の掲示による収入(事業所得)

⑥ 総トン数20トン未満の船舶の貸付収入(事業又は雑所得)

 

(注3) 保管責任がない有料駐車場、有料自転車置き場等の収入は不動産所得になります。事業所得と雑所得の違いは、事業的規模であれば事業所得になります。

 

 

(3) 不動産所得と事業所得の所得金額の計算上の相違点

 

事業所得には不動産所得では受けられない幾つかの優遇措置があります。

 

しかしながら、同じ賃貸経営であっても、

 

規模によっては不動産所得ではなく事業所得として扱われることがあります。

 

 

1 事業としての不動産貸付けかどうか

 

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、

 

原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、

 

実質的に判断します。

 

① 独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上

② 貸間、アパート等については貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上

③ 保管責任がない駐車場については50台以上

 

 

2 不動産の貸付けが事業として行われている場合と、それ以外の場合の所得金額の計算上の相違点

 

①青色申告特別控除

 

不動産の貸付けが事業として行われている場合には、

 

青色申告特別控除が最高55万円(要件を満たせば65万円)まで適用されます。

 

それ以外の場合には10万円までの控除となります。

 

②青色事業専従者給与・事業専従者控除の特例

 

不動産の貸付けが事業として行われている場合には、

 

一定の要件を満たせば親族への給与の支払は経費に出来ます。

 

それ以外の場合には経費にすることが出来ません。

 

③賃貸用固定資産の取壊し・除却などの資産損失

 

不動産の貸付けが事業として行われている場合には、

 

貸固定資産を取り壊し・除却したことによる損失額全額必要経費算入できます。

 

(不動産所得が赤字になった場合は他の所得と損益通算できる)

 

それ以外の場合には不動産所得の金額までしか必要経費算入できません。(赤字になっても損益通算できない)

 

④賃貸料等の回収不能による貸倒損失について

 

不動産の貸付けが事業として行われている場合には、

 

回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、

 

それ以外の場合には、収入に計上した年分までさかのぼって、

 

その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。

 

(注4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人または白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

 

 

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