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中小企業のM&Aで利用される買収価額の算定方法について

中小企業のM&Aで利用される買収価額の算定方法については、売り手、買い手の立場から

 

次のような算定方法がよく利用されます。

 

 

Ⅰ 売り手の立場からの主な買収価額の算定方法

 

1 年倍法(年買法)

 

2 EV/EBITDA倍率法

 

Ⅱ 買い手の立場からの主な買収価額の算定方法

 

1 EV/EBITDA倍率法

 

2 DCF法

 

 

今回は、売り手からの主な買収価額の算定方法について、お伝えしていきたいと思います。

 

 

1 年倍法(年買法)

 

時価純資産価額に、数年分(3~5年)の利益をのれん(営業権)として、

 

プラスして算定する計算方法です。

 

注意すべき点は、利益を計算する際には、

 

節税などの目的で計上されている役員報酬、生命保険料、オペレーティングリースなどを

 

他社比較できるように補正する必要があることです。

 

また、非経常的な損益についても足し戻しや差し引きが必要です。

 

 

この方法を使用するメリットは、

 

分かりやすく、中小企業のM&Aで広く認知されていることです。

 

デメリットは、想定以上に高く算出されてしまうことがあるため、

 

買主の納得をえることが難しいことがある点です。

 

ただ、利用しやすさは非常に高いと言えます。

 

 

2 EV/EBITDA倍率法

 

具体的には、「EBITDA×(EV/EBITDA)-有利子負債+非事業資産」で計算されます。

 

なお、EVは、「株式時価総額+有利子負債-非事業資産」で計算されます。

 

EBITDAは、

 

「営業利益(賃貸収入を営業外損益で会計処理している場合には、

 

経常利益を基準とする場合もあります。)+減価償却費

 

で計算されます。

 

 

※ 経常利益を使用する場合には、支払利息・割引料を足し戻すことです。

 

また、非経常的な損益も足し戻し、差し引きが必要となります。

 

 

ちなみに、計算式の最初のEBITDAは、買収対象会社の数値で、

 

EV/EBITDAで使用するEBITDAは、類似する業種の上場会社の数値を利用します。

 

なお、この計算方法を使用する場合には、大きな2つの壁があります。

 

 

1つ目は、そもそも対象会社に類似した上場会社があるかどうかです。

 

類似会社の規模、事業形態、利益構造などが大きく異なる場合、

 

適正な倍率が計算できないということです。

 

 

2つ目は、EBITDA倍率が業界や年度によって大きく変動してしまうことです。

 

自社の属する業界が明確であれば類似会社の選定上、問題はありませんが、

 

そうでない場合には、

 

どの業界のどの類似会社を選択するかで倍率が大きく変わってしまいます。

 

例えば、飲食業等のように赤字の年度もあれば、

 

翌年は大きく利益が改善することもあるように

 

大きく利益が変動する業界については、売り時、買い時がどの業界に属するかによって、

 

左右されてしまうことになります。

 

ちなみに、安定業種のほうがEBITDA倍率は低くなり、

 

そうでない業種の方はEBITDA倍率が高くなる傾向があります。

 

 

最後に、EBITDA倍率法のメリット、デメリットですが、

 

メリットは、実際に流通している市場価格を参考にするため、客観性が高いことです。

 

デメリットは、先ほども少し触れましたが、類似した上場企業を探す必要がありますが、

 

規模などが違いすぎて類似していると言えるかどうかが疑問となることです。

 

このように、各算定方法それぞれ、様々なメリット、デメリットがありますので、

 

対象会社の実態に合わせて、様々な算定方法により計算を行い、

 

売り手、買い手双方が納得できるような価額を計算していくことが必要です。

 

 

次回は、買い手の立場からの主な買収価額の算定方法について、

 

お伝えしていきたいと思います。

 

 

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